桜内 文城 氏
「次世代の党」政策調査会長
2014年12月号
POLITICS [インタビュー]
聞き手/本誌編集人 宮嶋巌
1965年愛媛県生まれ。東大法卒。88年大蔵省入省。ハーバード大・修士卒。マレーシア・マラヤ大・博士卒。2010年参院初当選。12年衆院初当選。公認会計士と税理士の資格を持つ財政通である。
――石原慎太郎氏(党最高顧問)を旗頭に、衆参23議員が9月に結党大会を開きました。
桜内 リベラル色が強い結いの党と統合ありきの橋下徹氏(維新の党共同代表)とは、自主憲法の制定や集団的自衛権に関する憲法解釈の適正化について溝が埋まりませんでした。そもそも私は20年前、大蔵省の役人だった頃から改憲を主張してきました。それは9条の問題だけではありません。日本の統治機構をゼロベースから問い直し、国家にとって重要な課題であればあるほど決断できない政府の意思決定の仕組みを変えなければ、この国は変わりません。
――「自立」「新保守」「次世代」という三つの理念を掲げていますが、新保守とは?
桜内 我々は祖先から受け継いできた日本国と日本民族の歴史と伝統、そして文化を次世代に引き継ぐ責務を負っています。投票権を持たない将来世代にあらゆる負担と弊害を先送りする政治はもはや許されない。新保守とは、個人の自由には責任が伴うという愛国的自由主義であり、世界情勢の変化にも柔軟かつ強(したた)かに対応する「温故創新」を旨とし、規律ある自由な社会を創ること。他方、リベラリズムの衣を被った社会主義思想は排除し、闘う保守を貫きます。
――来年生まれる日本人が30歳になった時の日本のグランドデザインを示すそうですね。
桜内 来年は第2次世界大戦から70年です。終戦後100年となる2045年を目標に、経済や技術革新、国際関係や安全保障など、様々な観点から考察し、45年の日本はいったいどんな国になっているのか、どんな国にしていくべきなのか――。党内に「2045ヴィジョン」プロジェクトを立ち上げ、終戦から70年後の来年8月に、45年に実現したい、本来あるべき日本の姿を提言します。
――具体的なイメージは?
桜内 45年の私たちは自主憲法を持ち、外国軍の自国内駐留は全廃する。国土と国民を自力で守ることができる、そして国家としての生き残りを自力で担保できる国になっています。あの香港でさえ99年間の租借を経て中国に返還されたのです。
また、国と地方の役割分担が明確となり、次世代が活躍しやすい日本になっています。エネルギー自給率と食糧自給率がともに100%の日本、世界一税率が低い日本、伝統文化とポップカルチャーで世界中から観光客が訪れる日本、労働力不足をロボットがサポートしてくれる日本、そして国民が100歳まで健康で安心して暮らせる日本。こうやって想像するのは、来年生まれる日本人が30歳になった時の日本であり、私たちは、これまでの政党が近視眼的にしか捉えてこなかった政策立案を、全く新しい形で考え、45年にあるべき日本の姿を実現するための政策を立案していきます。
――党勢は拡大していますか。
桜内 来春の統一地方選に300候補の擁立をめざし、現在40候補が決まっています。国会議員がそれぞれ県連を立ち上げ、総選挙対策も進んでいます。