2017年4月号 連載
こぶりながらも、ピリッと辛子が効いた月刊誌「FACTA」の読者である。長年、愛読していた月刊誌類が相次ぎ廃刊されて久しく。こうして骨太のメディアが姿を消していく中、権力を睨む「調査報道」類も今いずこという現況である。
さもありなんと思うのは、権力の最高峰・総理大臣と、大手メディア所属の著名人たちが、先を競うようにして会食をしている現実。国家権力側と、権力チェックを使命とするメディア側が、高級料理に箸をつけ、一杯飲みながら何を取材しているのだろうか。メディアは総理大臣の秘書ではないし、広報担当でもない。古来、こういう不明瞭な付き合いを「癒着の構造」と言う。
だいたい、支払いは誰なのか、割り勘なのか。それで翌日のテレビ番組に出演し、「日本の政治とは」と、ご高説を述べている。日本の大手メディアは、いつからこうも緊張感を喪失したのだろう。
こぶりでいい。これから先も、辛子をがんがん効かせた「FACTA」の発行に期待したい。
ジャーナリスト 段勲