2017年5月号 連載
東芝の惨状の元凶である不可思議なウェスチングハウス買収について、2月号で経産省官僚の責任について触れていたが、米国サイドから何らかの働きかけがあったのか、非常に気になる点である。
また、今後の東芝にとって主なビジネスが廃炉しかないとの4月号の指摘にはうなずくものの、1Fの廃炉費が実際どれだけ膨大な額になるのか分からないことに対するマスコミの突っ込み不足には首をかしげる。
1月号の某月風紋で、従来の4倍に跳ね上がった1F廃炉費の見積もりのいい加減さを、官僚の開き直りと批判したのは鋭い。「東電改革提言」に有識者の見解を引用しつつ、公然と「経済産業省として評価したものではないことに留意」と無責任に書く、官僚の厚顔さに呆れる。
私は「疑いを持つ自由こそ科学の最高の価値だ」というファインマンの言葉を座右の銘とするが、科学者だけでなくジャーナリストも肝に銘ずべき言葉と思う。
本誌の健闘を祈りたい。
社会技術システム安全研究所所長 田辺文也(原子力安全研究者)