2018年5月号 連載
私がFACTAに求めるものは「DEEP」である。政治や経済、社会事象の動きを決めるものはなかなか表面には浮かび上がって来ないDEEPな層にうごめいている。その「DEEP」ページを充実させているのは、有数なジャーナリスト人脈を培うFACTA編集陣の努力だろうと推測する。
4月号の「DEEP」ページ冒頭は、現在最もクリティカルな問題である、財務省理財局による森友文書改竄の深層記事。安倍政権VS朝日新聞の死闘、暗闘と言われた改竄問題は、報道した側の朝日新聞の勝利のうちに進行しつつあるが、その裏には、法務・検察人事への露骨な介入をした安倍政権への検察側の怒りがある、とこの深層記事は報じている。この記事の内容は、実は私が内々に耳にしていた情報とピタリと一致した。FACTAの情報収集の確かさ、早さに驚いた。
安倍政権の場合、森友、加計、スパコン疑惑だけでなく、醜い事件潰しの話が多すぎる。今はDEEPな深層へ迫るジャーナリズムの力が真に試される時代であり、FACTAの使命もそこにある。
五月書房新社取締役 編集委員会委員長 佐藤章