甲斐 真一郎 FOLIO代表取締役CEO

買い物感覚の「新時代投資」創る

2018年6月号 BUSINESS [ヴィジョナリーに聞く!]

  • はてなブックマークに追加
甲斐 真一郎氏

甲斐 真一郎氏(かい しんいちろう)

FOLIO代表取締役CEO

2006年京大法卒。ゴールドマン・サックス証券に入り、10年バークレイズ証券に移籍。15年に「ドローン」や「ガールズトレンド」など様々なテーマで投資できるオンライン証券を設立。

――投資銀行をやめて証券会社を創業しました。

甲斐 ゴールドマンでは日本国債や金利スワップのトレーダーを、バークレイズではスワップションのトレーディングチームの責任者をやっていました。合わせて10年弱です。2014年末、米国で個人間融資の新しいビジネスモデルの『レンディングクラブ』が上場して、すぐに1兆円の価値をつけました。海外ではフィンテックの多岐にわたるサービスが次々と現れ、この流れが日本に来ないわけがないと思いました。そのような中で、自分の専門領域にあり、自分が欲しいと感じ、そして世の中に求められる、そんなビジネスモデルを深掘りしました。

――どこか参考にした企業はありますか。

甲斐 米国の『モチーフ・インベスティング』は当時、めちゃくちゃ面白いなと思いました。金融経験がない人にも親しみ易く、間口を広く、ハードルを低くするにはどうしたらよいかと考えました。買い物感覚で投資ができるってありそうでないと思い、ウインドーショッピングのように見て回って、買うときもカートに入れてお金を払うだけ、という形を考え出しました。

――起業で一番大切なものは何ですか。

甲斐 最初から最後までヒトです。ヒトがいればモノは作れるし、ヒトとモノがあればカネが集まります。弊社は優秀なヒトに恵まれ、(起業前の)シードステージで、証券ライセンスも、プロダクトもない中で、3億円を調達できました。(理由は)ヒト以外にないでしょう。僕は、この会社のメンバーのほとんど全員が、僕よりすごいと思っています。

――日本での起業は難しくなかったですか。

甲斐 資金調達環境は、良くなっていると感じます。実際、当初の想定よりスムーズに、そして十分な資金を調達することができました。また最近はシードステージで5億円を調達した企業が現れています。

――日本にもユニコーン(時価総額10億ドル超のベンチャー企業)が現れそうですか。

甲斐 1社当たりの資金調達規模は大きくなり、トータルで30億、40億円調達する企業も出てきています。それぐらい調達できると、かなり加速度的にマーケティングを打てるし、モノの開発も進められます。資金はガソリンのようなものです。ガソリンがいっぱいあれば、力強く走れるわけじゃないですか。起業を考えている人を知っていたら紹介してくれ、ともよく言われます。資金面だけでは一概には言えませんが、昨今の技術革新に伴い、今後はもっともっと多くのユニコーン企業が出てくると思います。

(聞き手/編集人 宮﨑知己)

   

  • はてなブックマークに追加