2018年9月号 連載
いずれ発表されるニュースを先取りして「これは特ダネです」と胸を張っているのが大手新聞・テレビ局。このような「エゴスクープ(自己満スクープ)」にFACTAは見向きもしません。誌面は「FACTAでしか読めないニュース」のオンパレードです。
特に企業絡みの調査報道は強いです。経営側が発信する情報を批判的に検証し、時に大スクープにつながっています。2011年にオリンパスの巨額損失隠しを暴いた特報は今も記憶に強く残っています。
最近では3月号の特集記事「電通『東京五輪買収』の物証」。しがらみもあって大手メディアは電通報道には及び腰ですが、FACTAは正面から同社の暗部に切り込んでいます。6月号では会計の専門家が「イケてる企業」の代表格ソフトバンクグループの危うさを浮き彫りにしました。こんな分析は日経新聞でも読めません。
週刊文春などの週刊誌も政治家の疑惑をスクープするなど調査報道で気を吐いています。ただし、芸能人の不倫報道にも熱心な週刊誌と違い、FACTAは硬派の調査報道に徹しています。これこそジャーナリズムのお手本です。
ジャーナリスト兼翻訳家 牧野洋