「野党結集」待ったなし!「衆参同日選」不戦敗の恐れ
2019年6月号
POLITICS [キーマンに聞く!]
v1969年生まれ。東大法卒、大蔵省入省。米ハーバード大大学院修了。財務省主計局主査を経て2009年衆院初当選(香川2区、当選4回)。国民民主党を結党し18年9月より現職。4月26日自由党と合併。
――自由党と合併しました。
玉木 この10年の野党の歩みは「分断と分散」の歴史でした。令和の世を迎え、「野党はバラバラ」の歴史を「統合と結集」の新しいフェーズに変えていきたい。自由党合併は、自民党に代わる政権を担い得る「もう一つの選択肢」をつくる第一歩です。
――小沢一郎氏に母屋を乗っ取られると懸念する向きもある。
玉木 自由党を解散して我が党に加わる国会議員は6人。存続政党は国民民主党であり、その基本政策、規約・規則、組織を継承し、執行部も変わらない。政治資金(100億円超の繰越金)を取られるというが、どうやって取るのか、逆に聞きたい。
私は今年で議員歴10年、当選17回の小沢さんは50年を迎える。親子ほど年齢が離れており、私には前世代が抱くような遺恨はない。小沢さんは小選挙区を知り尽くし、選挙に桁外れの執念を持っておられ、敬意に値する。
――御党にとって、統一地方選は初の全国的な戦いでした。
玉木 統一地方選の前半の当選率は76%、後半は80%と、4年前(民主党当時)の当選率と同程度でよく踏んばったと思います。政党支持率1%の我が党は「統一地方選後に消えてなくなる」と揶揄されたが、むしろ足腰が強い自治体議員が多いことがわかり、自信がついた。県連によっては議席を伸ばしたところもあり、国民民主党は消えてなくなりませんよ(笑)。
――立憲民主党の枝野幸男代表は、御党はどうせなくなると見て「合従連衡には与しない」と言い続けてきたフシがありませんか。
玉木 それはわかりませんが、「フェーズが変わった」と思います。枝野さんのリーダーシップにより、大型連休明けに参院「1人区」の候補者調整を決着させ、「衆参同日選」に備え衆院小選挙区の一本化協議を開始することになりました。
――多弱野党の分断に乗じた、野党を壊滅させる同日選ですね。一本化は間に合いますか。
玉木 解散は望むところだが、時間は限られている。野党が力を合わせて「一対一」の構図を作らない限り、自・公連合軍に勝てっこない。我が党は衆院小選挙区で100人以上擁立したい。野党第一党の立憲民主党は150人以上立てるだろう。それでも小選挙区に数十の空白が残ります。
仮に同日選だとしたらお盆前の8月初めではないか。ある程度、野党間で共同して候補者を発掘し、バシバシ嵌め込んでいくような態勢づくりをしないと、とても間に合わない。このままだと衆院小選挙区で野党の不戦敗が続出する恐れもある。
――衆参64議員を擁する野党第2党として、何をしますか。
玉木 「万年野党」にとどまる気は毛頭ない。何としても、もう一度、政権を担いたい。野党が結集して同日選を戦うなら、政治資金を使い果たしても悔いはない。昨年、党のアイデンティティを表す言葉として「つくろう、新しい答え。」を定めた。単なる否定や批判だけでなく、自民党に代わって政権を担うプライドを捨てていないからです。私と小沢さんの共通点は田舎を大切にすること。小沢さんと2人で疲弊した地方を行脚し、未来へ進む「新しい答え」と、野党結集を訴えていきます。
(聞き手/本誌発行人 宮嶋巌)