「裏」京都コングレスって何?
2020年4月号 連載 [編集後記]
森まさこ氏(森氏のホームページから)
「無罪の主張というコメントを読み違えて『無罪の証明』と言ってしまったところを謹んで訂正させていただきます。無罪の証明と発言したところで無罪推定原則を否定したわけでない」(森まさこ法務大臣、1月14日の閣議後記者会見で)
「無罪の推定」は世界人権宣言に定められ、日本国憲法も保障している刑事裁判の大原則だ。有罪が確定するまで被疑者や被告人は「罪を犯していない人」として扱われ、検察官が合理的な証拠をもって犯罪を証明しない限り有罪とされないという法治国家があまねく取り入れている決まり事だ。それを法務省のトップが、被告人が無罪を証明すべきだと正反対の主張をした。とんでもない話だ。
さて、こんなお人が法務大臣を務める日本国において4月、国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)が開かれる。
日本での開催は50年ぶり。昨年末には司法取引を使って逮捕・起訴したカルロス・ゴーン氏に国外逃亡され、世界から日本の「人質司法」の問題が注目される中での開催なので、関連するアジェンダが入っているかと思いきやゼロ。
所詮こんなものかと萎えていたところ、小誌で「会計スキャン」を執筆している細野祐二氏から、「裏コングレス」を開いて、人質司法だけでなく、再審請求の難しさや経済事件の冤罪といった日本の司法が抱える構造問題も含め徹底討論するとの連絡が入った。
再審無罪を勝ち取った元被告や、担当弁護士、社会派の映画監督らを、京都コングレスがまさに開かれている時期に同じ京都の地に呼んで報告や討論をする予定。海外の関係者のビデオ参加も計画。新型コロナウイルスの事態が悪化しても、裏コングレスは「無観客ででもやる」という。表が取り上げないなら裏で||。日本の司法がガラパゴスから抜け出す初めの一歩になるかもしれない。