コロナ対策担当大臣 西村 康稔氏に聞く!(聞き手/編集長 宮嶋巌)

明日を拓く「ワクチン・検査パッケージ」戦略

2021年10月号 POLITICS [リーダーに聞く!]

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1962年生まれ。東大法卒。経産省入省。03年衆院初当選(兵庫9区・当選6回)。内閣府副大臣、内閣官房副長官を経て、19年9月初入閣。20年3月コロナ対策担当相を拝命。

――全人口の半数が2度目のワクチン接種を完了しました。

西村 菅総理の極めて強いリーダーシップにより、無理だといわれた1日100万回の接種が実現し、1日160万回に達したこともあります。主要国の中でも迅速に接種が進んでおり、6割~7割にとどまっている先行各国を追い越す勢いです。11月までのできる限り早期に希望する方全ての接種を完了し、接種率もできる限り高くなるよう取り組んでいきます。

――緊急事態宣言解除の基準を見直し、行動制限を一部緩和する方針を打ち出しました。

西村 1年半に及ぶ自粛や様々なご協力をお願いしている中、ワクチン接種が進むと日常生活はどのように変わり得るのか――。将来像を早く示して欲しいという切実な声があちこちから寄せられていました。

9月3日のコロナ感染症対策分科会の提言を受けて、政府対策本部として、ワクチン接種が進んだ段階で、「飲食店の…緩和」の基本的方向性をとりまとめました。今後、ワクチン接種の進捗や中和抗体薬を含めた新たな治療法の普及により重症化する患者数が減り、医療提供体制の強化と相まって、病床が逼迫する状況が生じにくくなっていきます。

政府としては、医療提供体制の確保、感染防止策の徹底、ワクチン接種の推進という三つの柱からなる対策に取り組むのはもちろんですが、ワクチン接種が先行している海外主要国の事例を参考にしながら、現在行われている様々な日常生活の制限の緩和を進めていきます。将来的には、感染対策と日常生活の回復に向けた取り組みの両立が可能になると考えています。

――新規感染者は急減しているものの、引き続き多くの重症患者が治療を受けています。

西村 今やるべきは医療の確保であり、病床の確保です。足元の状況は、東京だけでも自宅療養、入院・療養調整中の方が1万人以上おられ、急変する場合があるわけです。コロナは肺炎症状が相当悪化するまで、呼吸困難などの自覚症状として現れにくいことがあります。容態が悪化しつつある場合に保健所や病院と連絡が取れ、夜間もオンラインで対応できるなど、いざという時に治療を受けられる仕組みを構築していきますが、今は最大限の警戒が必要です。

さらに、災害時のように、指定した公共機関に対して、総理大臣が直接指示や要請を行える仕組みなど、感染症対応の強化に向けた法的措置を検討すべきとの指摘を受けています。

そうした中にあっても日常生活はどう変わるのか。トンネルの先に出口が見えてきたから、ここは頑張ろうと共感してもらえる姿をできるだけ早くお示ししなければならないと感じております。それには、多くの皆様にご理解いただけるような国民的な議論、コンセンサスづくりが欠かせません。

原動力は、やはり「ワクチン・検査パッケージ(*注:ワクチン接種歴及びPCR等の検査結果を基に、個人が他者に二次感染させるリスクが低いことを示す仕組み)」戦略です。接種率を向上させ、いつでもどこでも検査可能な体制をつくります。将来像を示すことで多くの共感と協力が得られ、若い皆さんにもワクチン接種を促進する機運が高まって来ることを期待しています。

(聞き手/本誌編集長 宮嶋巌)

   

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