経営大学院で留学生を中心にした学生相手に英語でコミュニケーションの授業を行っている。議論がヒートアップすることも多く、異なる宗教の学生同士が授業内で敵対し、一触即発の事態になったこともある。留学生からは「日本は人種や宗教の対立の少ない国で、人々は平和に暮らしている」と良く言われる。否定はしないが、我々が問題点を見過ごしているだけの場合もある。

私に日本の実体を見せてくれるのがファクタだ。最近では、医師と製薬会社との利益相反を追求している記事が気に入った。データに裏打ちされた内容で、日本の悪しき慣習を変革させる潜在力を持っている。日大の闇を暴く連載は金字塔となった。一方、官邸周辺の話などは、伝聞調の話が多くて今一つ興味が持てない。

当事者の意に沿ったことを伝えるのは広報に過ぎず、当事者が隠したいことを伝えることのみがジャーナリズムの名に値するという。真のジャーナリズムとして深層にうごめく様々な事象を暴き続けてほしい。

明治大学経営大学院兼任講師　小田切尚登