2023年10月号 連載
最近はビジュアルの時代と言われる。SNSでも、まず「映える」写真が求められ、読者は画像の印象で「いいね」を付ける。そして世の中は「できるだけ文は短く、あるいは省略」の方向へ走っている気がする。私のような絵やデザインを職にする者にとっては、視覚重視のこの傾向は有り難いが、では文がない世界とはどのようなものか。たとえば写真週刊誌。文を読まず画像だけ「眺めて」みたら。それなりに世界観は伝わるだろうが「真意」が伝わるのか?
「FACTA」の辛口な視点、そして恐れず論じる姿勢、それは文を読まずには絶対に伝わることはない。「読もう」という意欲を掻き立てる。
「言葉と画は二人三脚」と思う。どちらか一方でも成り立つが、双方揃えば確固となる。文を読むことを面倒がってしまえば、半分しか伝わらない。「言葉って本当はこんなに面白い!」ということを、特に若い世代に知ってほしい。「日本はもうだめだ」と、まだ結論づけられてはいない今こそ、自国の言葉に誇りを持っていい時ではないかと思ってやまない。
美術作家 宮島永太良