2023年11月号 連載
私は教育現場に直接立っているわけではありませんが、大学の職員として教育業界の片隅に携わっている関係から、生成AI利用の是非について耳にすることが多くあります。もっとも、いつの時代も技術革新は「火」と同じで、火事や火傷の危険がある一方、上手く使えば人類に多大な進化をもたらすものでしょう。これは産業革命の時代から変わらぬ論争なのかもしれません。
しかし、重要なのは技術の進化ではなく、それに伴う社会の変化なのだと思います。いかに「火」を使いこなし、変化に対応できる力を身につけるか、教育業界こそ率先してその能力を養うべきだろうと個人的には考えています。
そうした社会の変化に対応できる力は、本誌が掲げる「三歩先を読む」見識に通じるものがあるように感じています。変化に流されることなく、幅広い視野と柔軟な思考を持ちながら確固たる自分の意見を持つ若者が多く育ち、社会を牽引していく。これが、これからの教育が目指すべき方向ではないでしょうか。
私立大学職員 山田泰史