非効率な「大きな政府」などまっぴら
2009年12月号
連載 [如是我聞]
by M
1962年兵庫県生まれ(47歳)。東大法学部卒業。85年通商産業省入省。米メリーランド大学院に留学。石川県商工課長などを経て99年退官。2003年衆院初当選。08年外務大臣政務官に就任。先の自民党総裁選に出馬。現在、自民党政調副会長兼事務局長。当選3回。
写真/小嶋三樹
「10月28日、若手のトップバッターとして、代表質問を行いました。鳩山総理の答弁は情緒的・抽象的で、何ら具体策が示されない。民主党議員のヤジがひどくて、大声を張り上げなければならなかった(笑)」
「新政権はスピード感を持って仕事に取り組んでいるが、その内容と手法には大きな疑問を感じます。補正予算について3兆円近い執行停止・削減を決める一方で、95兆円を超える来年度予算概算要求を容認した。そこには何の基準も方針もない。そんな予算編成がありますか。私たちが実行した補正予算によって景気に回復の兆しが見えたのに、補正予算の執行停止で『鳩山デフレ』への懸念が高まっています」
「もっと驚いたのは、日本郵政の社長人事。『脱官僚・天下り根絶』を声高に謳ってきた民主党が、事もあろうに『官僚中の官僚』といわれる旧大蔵省のトップを起用した。民主党は『戦後行政の大掃除』と言いながら、実は『官』主導で資源を配分する、非効率な『大きな政府』をつくろうとしている。『友愛政治』とは結局、『大きな政府』がすべての人々の面倒を見る、将来に莫大なツケを回す無責任な政治ではないか。総理はムダを省けば財源はあると言うが、国債増発なしで来年度予算を組めるのか。年明けの通常国会で追及したいテーマが山ほどあります」
「私たちは『官』から『民』への方針の下、非効率な政府部門をできるだけ小さく簡素化して、民間の力、すなわち個人や企業の自助努力を基本に、市場競争を通じて経済活動を活性化する考え方に立っている。菅副総理と小沢幹事長はイギリスの行政のあり方を勉強しに行かれたそうだが、かつて大英帝国が『大きな政府』により凋落した歴史にこそ学ぶべき」
「鳩山内閣の支持率が高いのは、中堅・若手の副大臣・政務官が最前線で仕事をしている姿が新鮮に映るから。我々が与党の時代にも、大臣が副大臣、政務官を指名し、チームとして一体的な仕事をすることを提案したが、『派閥順送り』『派閥均衡』の壁に阻まれ、実現できなかった」
「自民党も変わりつつある。特に中堅・若手の人事の仕組みだ。今回、各分野の政策決定責任者である『部会長』の人事は、派閥や当選回数に関係なく決められた。当選5回の先輩の部会長もいれば、初当選の新人の部会長もいる。そして、部会長代理、副部会長の人選も部会長に一任された。従来は、こうした人事は、派閥が調整していたが、今回はまったく関与していない。さらに各部会の会議をフルオープンにした。ちゃんと議論している姿を見てもらうチャンスだ。最近、党本部の『政権構想会議』が『勝てる候補を選ぶ』観点から『公募制』を打ち出した。構想会議では民主党のマニフェストを検証しながら、自民党としての旗印、存在意義を議論している。悲観論もあるが、参院選は勝ちに行きます」