読者の声
2021年12月号 連載
仕事柄、メディアの方と直接お話しさせていただくことも多く、30年以上報道の変化を金融の世界から身近に見させていただいた。報道のあり方はインターネットの発達のために激変したが、特に目立つのは匿名性にあぐらをかいたSNSによる誹謗中傷の多さである。
公の場で特定の対象を批判し、本人が隠したいことを実名で糾弾するのは非常に覚悟のいることである。匿名で無責任な読者の興味を惹くだけの記事・投稿がSNSで溢れている中で、責任者の実名を公表し、訴訟も辞さない覚悟で記事を書くという姿勢は敬意に値する。中でも貴誌の公権力や巨大企業に臆することなく戦いを挑む姿勢は行政や資本市場の健全な発展に資するものと理解するが、同時に取材の徹底や情報の正確性だけは十分すぎるほど留意していただきたいと思う。メディアは公権力並みの暴力たりえるし、読者が読みたいのはセンセーショナルなヘッドラインではなく、自分たちでは知りえない真実の情報なのだから。
代表取締役社長 土屋剛俊
